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制作こぼれ話

〝龍の軍団〟の影に工夫と肉体労働あり?(歴史群像95号)

合戦祭りは宝箱


(上)待機中の上杉勢。(下)乱戦に突入した両軍。参加者の数が生み出す迫力は合戦祭りならでは。

『歴史群像』95号(発売中)がお手元にありましたら、50~51ページの「精強なる〝龍の軍団〟の実相」タイトルページをご覧下さい。迫力あるでしょう?
 ここ数年、戦国時代が注目を集めていて、今年も大河ドラマ『天地人』が好評なようです。戦国や幕末を扱ったイベントやお祭りも盛んで、見るだけでなく参加する方も増えているとか。
 かく言う『歴史群像』の編集スタッフ(および姉妹誌や他誌の有志)も毎年4月に開催される山梨県笛吹市の「桃の花祭り 川中島合戦絵巻」に参陣しております。根っからのお祭り好きが多い(?)ということもありますが、こうしたお祭りなどの合戦再現は誌面作りにとって宝箱のようなもの。
 お宝の一つは、合戦の実体験です。お祭りなので、実際の陣法や合戦作法までは再現が難しいわけですが、なんといっても大人数(「川中島合戦絵巻」の場合、武田・上杉合計で約900人)が集まる機会は貴重。足軽を集めて槍衾を組んでみるなど、参加人数が多くなければなかなかできない様々な試みを行えるのです。
 もう一つは、戦国のビジュアルです。記事は史跡や遺物の写真、人物の肖像画などを使って構成しますが、トビラ(タイトル)ページには見て楽しめる、迫力や派手さが欲しいところ。合戦祭りやイベントは、それ自体が〝戦国〟の再現を目的としているので、イメージ喚起にはまさにうってつけなわけです。もちろん、合戦祭りの内容によっては鎧を着たまま10時間くらい過ごすので、それなりに重労働ではあります。
「精強なる〝龍の軍団〟の実相」の場合は、「川中島合戦絵巻」の取材写真にデザイナーが加工を施し使用しています。イラストのように見えると思いますが、元は写真です。写真をそのまま使うという方法もありますが、記事の内容とのバランスが難しいところで、今回は背景イラスト的に用いることにしました。
 イラスト化した画像は背景にして、それに武者絵を重ね「上杉家と合戦」のイメージを作り出しています。背旗が林立する乱戦、「放て」の号令が聞こえてきそうな鉄砲隊がなかなかの迫力を醸し出していると思いますがいかがでしょうか。
 他にも、86号の「戦国の長柄鑓」のように写真とCGを組み合わせたり、編集スタッフが自ら甲冑を着て画像加工用の原版写真を撮影するなど、いろいろな試みをしていますが、共通しているのは〝記事担当の編集スタッフが体を張ってビジュアルを入手する〟という点。トビラページをじっくり見るということは少ないとは思いますが、編集スタッフやデザイナーにとっては、工夫と肉体労働の結晶でもあるのです。

(by 熊右衛門尉)

取材写真を元に画像処理した背景ビジュアル。
実は、本誌記事ページの担当デザイナーも合戦に参加
(武田勢)、上杉勢の車懸かりの猛威を体験した上で、デ
ザインをしている。ま、何事も経験が大切、とはいいながら、
どうやら合戦にもやみつきになってしまったようだ。

(協力:Little Elephant Co.)