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制作こぼれ話

ホンモノだけが持つ存在感(歴史群像101号)

アームズ・コレクター・イン・ワンダーランド

クリケットは「1944年6月」の刻印入りです。D‐Dayまで大事にお持ちください。

ドイツが誇るMP40機関短銃(写真上段)と、特徴的な発射音から「ヒトラーの電動ノコギリ」とあだ名されたMG42汎用機関銃(写真右側、実は展示販売されているのは戦後ユーゴラビアで生産された同型のM53 )。写真下段はアメリカの半自動小銃M1カービンシリーズで、一番手前のものはなんと暗視装置付きの珍品!

写真中央はドイツが制式採用した初の機関銃マキシムMG08で、元は博物館に展示されていたもの。写真左奥にはMG42汎用機関銃。このように地上射撃用三脚MGラフェッテ34に備え付けることで重機関銃として使用できた。床にはイギリスなどで採用されたルイス軽機関銃も置いてある。

ドラグノフ狙撃銃やブレン軽機関銃などファンにはおなじみの銃がズラリ。豊富な品揃えに圧倒されます。

『シカゴレジメンタルス』上野本店。一見ヨーロピアンな骨董美術店な趣だが、一歩中へ足を踏み入れると……。

 遂に届きました! 通巻100号記念プレゼント「クリケット」。おかげさまで応募も多数いただき泣く泣く抽選となりました。落選された皆さん申し訳ありません。今後も『歴史群像』をよろしくご愛顧のほどをお願い致します。
 さて今回はクリケットを受領しに、企画協力いただきました『シカゴレジメンタルス』さんの東京上野本店へ行ってきました。同店は国内最大手の無可動実銃ショップで、無可動実銃とは「法的に銃ではない状態」、つまり銃口をふさぐなどして実弾発射機構を排除した銃のことを指します。このたび『シカゴレジメンタルス』さんが店舗を日暮里から上野へ移転されたということで、あわせて取材してきた次第です。
 地下鉄湯島駅から徒歩数分の新店舗は5階建てのビルで、表通りに面した1階のディスプレイにはナポレオニックな兜と胸甲が陳列されており、美術品販売店のような趣(もちろん無可動銃も法的には「美術品」)。脇にある入り口から2階に通じる階段を登ると、その横には一個小隊分のマウザーKar.98kがズラリと並び、2階から4階までマニア心をくすぐるWWⅡ時のボルトアクションライフル、短機関銃、さらにはAKシリーズをはじめとする旧共産圏のものから、現用のブルパップ方式のものまで多数展示販売されていました。BGMにボッサのお洒落なミュージックが流れるなか、我々取材陣は仕事を半ば忘れる勢いで「実銃」だけが持つ妖しい魅力にとりつかれてしまいました。
 ボルトアクションライフル、自動小銃、機関銃、果ては対戦車ライフルまで幅広く揃う商品は、欧米のミリタリーショー、そして武器商人や時には軍に直接出向いて買い付けているとのこと。買い付けた銃はもちろんそのまま日本に「密輸」するわけにはいかないので、イギリスの工場で加工してから日本に輸入するそうです。まれに博物館所蔵の貴重なコレクションも売りに出されることがあるそうで、お店にあるMG08(WWⅠのドイツ軍の機関銃)もそうした一品なのだそうです(ちなみにお値段を聞いたら約¥3,000,000でした)。
 さらにはお店にない銃でも要望があれば「予約」を受け付けているとのことですが、扱っている商品の性格上、入荷するかどうかは買い付け次第ということで、場合によっては予約から10年かかったケースもあったそうです。
 そのほかにもルイス機関銃や三脚付MG34など、35分の1サイズでしか触れたことのないような機関銃も多々展示販売されており、もはや『シカゴレジメンタルス』上野本店は御徒町の中田商店と並ぶ東京の軍事博物館といってよいでしょう(笑)。
 実際にいくつか持たせてもらったのですが、実物を手にしてみて改めて気づかされることがありました。本物ならではの重量感はモデルガンのそれとは違い、圧倒的な「存在感」があるということ。ガリル(イスラエル)には本当に栓抜きが付いていること(笑)。特に印象に残ったのはブルパップ方式の自動小銃についてです。カタログ写真や電動ガンを見る限りオモチャっぽいなとは思っていましたが、FA-MAS(フランス)やAUG(オーストリア)などはプラスチックを多用していてオモチャ以上にオモチャっぽいところがあり、逆に東京○○イの技術力の高さを感じてしまいました(スイマセン!)。ブルパップ方式の銃は基本的には軽量なんですが、L85(イギリス)なんかは金属使用部分が多いせいか銃床部にズシリと重量があり、まるで工事用のハンマーを逆さに抱えているかのような取り回しづらさを感じました。ブルパップ方式が白兵戦向けにはできていないとはよく言われることですが、こういうことが実際に体感できるのも実銃だからこそと言えましょう。
 もちろん店には無可動実銃だけでなく、マガジンやマガジンケース、ダミーカートなどといった付属品、教本などの資料、さらには各種スコープと、「お手に届きやすいもの」も充実しています。とにもかくにも同店は日本で実銃に触れられる貴重な場所です。ホンモノを知らずして銃を語るなかれ。

(文=山猫の小平太)