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制作こぼれ話

特製ボードゲームの裏話(歴史群像114号)

指揮官の決断が試されるとき!

編集部にて行われたテストプレイの様子。試作品のためゲームマップはまだシンプルですが、ルールやシステム自体はすでに出来上がっており、このあと数値バランス等の微調整に入りました。

空母『エンタープライズ』のイラスト。ミッドウェー海戦時の姿を再現するべく、考証を重ねました。フライトデッキに描かれた白い誘導ラインが特徴。

考証にあたっては当時の写真も参考にしています。このミッドウェー海戦時に撮影された空母『エンタープライズ』の甲板風景は、誘導ラインの特定に役立ちました。

完成バージョンの空母『エンタープライズ』。アメリカの三空母は、同じ『ヨークタウン』級ながら細部がそれぞれ異なっていますので、ゲームマップで見比べてみてください。

 本誌114号は、創刊20周年記念号ということで、かなり前から帝国海軍特集号とすることは決まっていました。問題は記念号に不可欠な付録をどうするか、ということ。せっかくの記念号なので、今までやったことのない企画を実現できないだろうか……。そこで浮上してきたのがボードゲーム案です。『歴史群像』は戦史を扱う雑誌なので、ウォーゲーム的なものを付録につけられれば、読者の皆様に喜んでいただけるのではという想いから、ついに企画が動き出しました。
 まずは第一歩として、レギュラー執筆者のお一人でウォーゲーム・デザイナーでもある山崎雅弘さんに連絡。今回のゲーム付録案について相談したところ快諾いただき、制作をお願いする運びとなりました。打ち合わせの結果、相手が必要な対戦型ゲームだけでは気軽に遊べないため、二人用・一人用を兼ね備えた両面ゲーム盤仕様にすることが決定。ゲーム内容につきましては、各局面でプレイヤー(ゲーム上では指揮官)の決断が試されるものにしようということになりました。皆様も戦記を読んでいて「指揮官の采配ミスだよ」と感じたことがあるかと思いますが、指揮官の立場を疑似体験することで、彼らの苦しい胸の内を少しでも理解できるのではないか……というわけです。
 しばらくして山崎さんから、複雑な要素をなるべく省いた「誰でも楽しめるボードゲーム」というコンセプトとともに、タイトル候補として「ミッドウェー海戦(二人用)」と「日本海海戦(一人用)」が上がってきました。ストレートど真ん中の題材に、編集部としては異論があるはずもありません。早速、プロトタイプを作成いただき、編集部にてテストプレイ(ミッドウェー海戦)を行いましたが、これが予想以上に燃えるんです。山崎さんが見守る中、編集スタッフ同士で対戦したのですが、「第二次攻撃の要ありと認む」とか「敵機直上、急降下!」といったおなじみの台詞が飛び交い、大盛り上がりでした。
 山崎さんには引き続きゲームバランスの調整(さまざまな方にご協力いただきました。この場をかりて御礼申し上げます)をお願いし、編集部ではゲームマップに使う艦艇群の素材を集めることになりました。ミッドウェー海戦ゲームでは当然、空母のイラストが必要になりますので、本誌連載「日の丸の翼」で三面図をお願いしている胃袋豊彦さんに依頼。さらにミッドウェー海戦時の空母を表現するべく、こちらも本誌連載「銘艦ストーリー」の執筆者・白石光さんに協力をお願いしました。おかげさまで雰囲気バッチリのイラストに仕上がったと思うのですが、如何でしょうか。
 その後も、コマシート、ルールブックと制作は順調(じつは打ち抜きコマのコスト問題も大変だったのですが…)に進み、ちょっとした遊び心でサイコロシートも追加。ついに完成品を手にしたときの感慨は忘れられません。普段こういったゲームになじみのない方も、昔をなつかしんで手にとっていただいた方も、そして現役ゲーマーの方も、ぜひプレイしてみてください。いろいろな楽しみ方があるかと思いますので、長く遊んでいただければ、作り手側としてこんなに嬉しいことはありません。

(文=藤四郎)