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制作こぼれ話

大宮駐屯地祭と装備品の数々(歴史群像96号)

NBC兵器を検知・識別する“偵察三兄弟”や防護衣

後ろから見た化学防護車。向かって右側に、折りたたまれたサンプル採取用のマニピュレーターが確認できる。乗降は車体後部中央の扉から行う。(写真をクリックすると拡大写真がご覧になれます)

89式小銃を持つ普通科隊員(左)と、「個人用防護装備」を着用し、店先に座る隊員(右)。この防護服は、以前配備されていた「戦闘用防護衣」の後継として採用された。重量は7.7㎏もあり、かなり重い。陸自ではこの他、黒色でゴム製の「化学防護衣4形」があるが、これは主に除染作業や汚染地域の偵察といった非戦闘時に使用される。ちなみに防護服を着ているこの隊員、子供が近づくと急に動き出してビックリさせるという、茶目っ気ぶりを発揮していた。

 5月31日に行われた「化学学校・大宮駐屯地創立52周年記念行事」の編集部レポート(『歴史群像』96号の「歴群フォーラム」参照)を読まれた読者もおられるかもしれませんが、ここで陸自の化学防護隊の主要装備を、駐屯地祭の様子もまじえながら、つらつら眺めてみましょう。
 化学防護車と生物偵察車、そして化学剤監視装置は、NBC(核・生物・化学)兵器の「検知・識別」を行う“偵察三兄弟”ともいえる車輌たちです。1987年に制式化された化学防護車はさしずめ“長男”で、放射能汚染の測定(放射線量測定)や有毒化学物質の検知・識別はできますが、生物兵器の検知・識別はできません。
 そのため導入されたのが“次男”の生物偵察車というわけです。この“次男”は生物兵器(つまり病原微生物)の検知・同定を行うことに特化しており、当日の装備品展示では残念ながら中を見せてもらえませんでした。一方、“三男”の化学剤監視装置は、3輌一組になって大気中にある汚染物質の流動状況を監視するものです。さらに現在“四男”に当たる「新NBC偵察車」が開発中とのことで、そうなると、“長男”は引退、ということになるかもしれません。
 ブラブラ歩いていくと、焼きソバや飲み物を売っている簡易店舗の店先にガスマスクを被った迷彩服の隊員がちょこんと座っています。「個人用防護装備」です。これはNBC兵器の有毒な気体・液体・粉末などから全身を防護するもので、2001年度に導入されました。迷彩柄となっていることからも分かるように、主に戦闘時に着用します。
 あと、これは化学科の固有装備ではありませんが、人命救助システムⅠ型およびⅡ型が展示されていました。これらは災害対策として装備化されたもので、エア・ジャッキやエンジン式削岩機、作業用照明具などが、分隊・小隊・中隊用に区分され、部隊配備されています。ある意味、われわれ国民にとっては、陸自の装備の中で戦車や装甲車よりも関係が深い装備といえるかもしれません。
 この他にも、ここで紹介しきれなかった化学科のさまざまな珍しい装備を目にすることができますし、グラウンドに駐機されたCH-47チヌーク大型輸送ヘリ(木更津駐屯地の第1ヘリコプター団に所属)の見学など、内容も充実しておりますので、皆さんも来年の大宮駐屯地祭に足を運んでみてはいかがでしょうか?

(by バイオ大森)

2004年度から調達が始められた新装備の生物偵察車。側面の扉は非常用出口で、正規の出入り口は後部にある。コンテナ内は若干、気圧が高められており、たとえ穴が開いても内部の空気が外に流れるので、微生物汚染された外気がコンテナ内に入ることはない。

汚染を回避するために有毒化学物質の流動を監視する化学剤監視装置。高機動車の荷台にシステム一式を搭載している。(写真をクリックすると拡大写真がご覧になれます)