歴史群像バックナンバー

期待の大作映画

 今年は明治維新150周年。小誌でも、例えば151号では長南政義氏の『西郷隆盛と「征韓論」』や藤井尚夫氏の『庄内秋田戦争』、坂本犬之介氏の連載コラム『フォークロア幕末維新』と、この時代に関する様々な記事を掲載してきているが、記念の年ならではの大作映画が登場しないのは残念……と思っていたら、『峠 最後のサムライ』(小泉堯史監督、役所広司主演、2020年公開予定)の制作が発表された。司馬遼太郎の小説『峠』を原作に、北越戦争を戦った越後長岡藩・河井継之助の生涯を描くとのこと。今まで継之助が登場する映像作品といえばテレビドラマだが、中でも印象に残っているのは1977年のNHK大河ドラマ『花神』。司馬氏の数作品を原作として、大村益次郎はじめ長州側から幕末維新を描く作品ながら、対・新政府のメインキャラクターとして継之助がドラマ終盤を引き締めていた。演ずるは30代前半の高橋英樹氏。また故18代目・中村勘三郎氏も日本テレビ系で放映された『河井継之助~駆け抜けた蒼龍~』(2005年)で演じている。継之助といえば、当時の新兵器ガトリング砲を投入したことが有名で、上記2作品でも継之助自ら撃ちまくるシーンが見せ場となっていたが、現実には戦勢を覆すほどの効果は上げられなかった。『駆け抜けた蒼龍』放映当時、PR番組内で、継之助ゆかりの地の記念館を訪問した勘三郎氏が、展示されたガトリング砲のレプリカ前で、「……コレ、あまり活躍しなかったでしょう?」的な話を案内の人にしていたのが印象的だった。今回の映画でもこの悲劇の兵器は登場するだろうが、ともかく主役以外のキャストも豪華だし、5,000人規模のエキストラを動員するとのことで、現在も評価の分かれる継之助をどのように描くのか楽しみだ。
 さて第二次大戦ものの映画も、様々な企画や制作情報が報じられているが、予定通りなら既にハワイで撮影が開始されたはずの作品に、ミッドウェー海戦を描く『Midway』(ローランド・エメリッヒ監督、2019年末アメリカ公開予定)がある。注目は日本側キャストに、浅野忠信、豊川悦司、國村隼各氏の名が上がっていることだ。以前制作された『ミッドウェイ』(ジャック・スマイト監督、1976年)では、日本軍人は三船敏郎氏以外、日系の俳優さんだったから、馴染み深い三氏がどんな役を演じるのか楽しみだ。また前作の戦闘場面は、大半が過去の日米の戦争映画やニュース映像の継ぎはぎだったのに対し、新作は恐らくCGによる迫力映像満載となるのだろうが、「トンデモ日本海軍」に描かれないことを、今はただ祈るばかりだ。

 (by 吾助/歴史群像151号)

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