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歴史群像バックナンバー

春節と爆竹

 今年から日本でも関心が高まっている微小粒子状物質「PM2.5」騒動。編集部のある16階から眺めた東京の空が最近、霞掛がかって見えるのも「PM2.5」が原因なのか?
 テレビでは連日、北京市内を覆うスモッグの様子と日本への飛来予報が報道されている。この騒動の中、2月の旧正月期間内に「PM2.5」の濃度を抑えるため北京では花火の使用が規制されたと報じられた。
 中国の旧正月「春節」に欠かせないアイテムの一つが爆竹だ。人々は新年を迎えるにあたり家の前で爆竹を鳴らし、悪を追い払い、神を迎え入れる伝統行事である。しかしその使用量は年々増え続け、怪我や火災、騒音などの問題が増えた。このため北京市花火爆竹管理弁公室は、定められた地区を除いた市街地・住宅街などでの使用を1993年に禁止する。その後、2005年に規制緩和されて、旧暦の大晦日と元日は終日、1月2日から15日は7時から24時まで爆竹と花火が解禁となった。
 約4年前、北京での取材中に「春節」を体験したが、市内では爆竹が鳴り響き、花火などが打ち上げられたその音はまるで市街戦を彷彿させるものだった。街を歩けば、道路で爆発した花火の振動で駐車している車のアラームが一斉に鳴り響き、6階建てのビルの窓際で開花する打ち上げ花火などストレンジな光景に出くわした。
 そして大晦日の夜、花火と爆竹の乱れ射ちは最高潮に達する。一斉発射される花火と爆竹の連発音は年越し前後30分間続き、濛々たる煙と硝煙の香りが漂った。
 そして、今年は怪我や火災に「PM2.5」の問題も加わった。市当局は花火の使用の自粛を市民に呼びかけたが、大晦日の9日だけに使用された爆竹と花火は昨年の41万箱を下回り計26万箱だったが、夜には「PM2.5」の値が一時、昼間の100倍以上になったという。
 この「PM2.5」問題、「春節」の新風物詩にならないよう願うばかりである。

( by 毛沢山/歴史群像118号)