編集後記

夢の話

 拙者の夢の話です。
 あ、将来どうこうってヤツではなく、寝てから見るほうね。
 子供の時分から、とにかく戦争の夢を見る。で、行った戦場は、それこそ中世から宇宙世紀まで(ガンダムの整備兵だった)。そのなかで結構印象に残っているものもあって、飲み屋でのバカ話のネタにもするんだけど。こうした夢が意外と仕事の役に立ったりするときもある。
 一つは地図の見方。見慣れた地図でも逆方向から見たりすると意外な発見があります。これはアメリカ独立戦争のさなか、敗北間近にイギリス軍の将校になった夢を見たときに思い付いたこと。
 ちなみ、その夢の中では、戦況図を逆に見て、勝てる(かもしれない)策を思いついたのだけど、拙者は連隊の中でただ一人の平民出身の将校だったので、誰も意見を取り上げようとせず、口惜しさのあまり、被っていたカツラを叩きつけて怒ったところで目が覚めた。
 あと、夢というのは自分の経験や知識以上のことを見られないわけだから、知識の欠落を自覚できる。
 第二次大戦のアメリカ軍中隊長になった夢では、前方のドイツ軍拠点を潰すため、砲撃支援を要請しようと通信兵を呼び寄せたのはいいけど、砲兵に何と伝えればよいのかわからない。これには慌てました。なにしろ尖兵中隊長だったから。
 で、この夢を見たあと、知人の陸上自衛隊員に根掘り葉掘り聞きましたとも。砲兵隊の運用などを。で、このとき得た知識が、その後、誌面作りに役立っているわけだ。
 しかし、こんな事を書くと、いろいろメンタルを心配されます。いや、とりあえずは大丈夫です。はい。
 さて、もういくつ寝るとお正月。来年の初夢は、“富士山”上空1万メートルで、“茄子”のような雷電に乗って、B-29を“鷹”のように襲う夢を見るぞ。

(by 樋口左衛門尉/歴史群像128号)

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