編集後記

もっと知られてよい「ナポレオン戦争」

 発売中の雑誌『歴史群像4月号』では、久々に「ロシア遠征」というテーマで“ナポレオン戦争”を採り上げている。しかし執筆者の佐藤氏も触れておられるように、この戦争はわが国では一般にあまり認知されているとは言えない。第二次大戦やそれ以降の戦争に比べ、日本語で読める本が圧倒的に少ないこと、映画やテレビドラマのような「ビジュアル」面のイメージを伝えるものが、現在ほとんど存在しない(入ってこない)ことも一因であろうか。その点、旧ソ連が関わった巨大なスケールの映画『戦争と平和』『ワーテルロー』などを劇場で鑑賞でき、模型雑誌を開けば「ヒストリカル・フィギュア」や「ウォーゲーム」の連載が読めるという学生時代を過した筆者などは、まだ幸福な(?)世代かもしれない。
 しかし今でも少数ながら日本の作家の著作や翻訳ものの関連書籍も発刊され続けているし、過去の映画作品も見やすい環境になってきているので、きっかけさえあれば、興味をもたれる読者も多いことだろう。世界戦史上重要な時代であるのみならず、そのドラマチックな展開や、三国志の英雄にも比すべき魅力的なキャラクターたち、そしてカラフルかつバリエーションに富んだ軍装など、知れば知るほど面白い時代だからだ。それゆえ海外には膨大な愛好家層が存在するのだが……。
 わが国にもおられる一握りのディープなマニアの方々以外にも、気楽にこの時代を楽しむことができる「ナポレオニック・ファン層」を、もっと広げていきたいものである。

(by 吾助/歴史群像105号)

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