編集後記

中にいてはわからない
 「歴史群像」の影響力

 最近お会いしたノンフィクション作家の先生と城郭研究家の方から、「歴史群像」の記事を読んだのがきっかけで今の仕事をやっています、というようなコメントを立て続けに聞きました。
 詳しいお話を聞くと、20年以上も前の記事を鮮明に覚えておられ、その記事を読んだ時の感動を私に熱く語るのです。21世紀になって社会人になった若造の私は、当時もちろん編集部にいるはずもなく、記事の詳細や制作裏話をお話しすることはできませんでした。社交辞令でちょっと大げさに話されているにしても、1冊の雑誌が1人の人生に大きな影響を与えることがあるのだと、改めて感じた瞬間でした。
 「歴史群像」の姉妹誌である「歴史発見」の編集にも携わっている私は、NHKの歴史番組を制作しているディレクターとお話をする機会があり、その際、番組スタッフはみんな「歴史群像シリーズ」を持って制作してますよ、という嬉しいコメントをいただきました。「歴史発見」を制作するようになって、これまであまりお付き合いがなかったテレビ局や他の出版社の方々とお話しする機会が増えましたが、どこに行っても歴史関連のお仕事をされている人は、「歴史群像」ファンが本当に多いのです。
 こうした「歴史群像」ブランドは先輩たちの偉業によって築かれたことは言うまでもありませんが、そのバトンを受け取った私たちは、そのイズムをしっかり受け継いでいるのか、こうした場面に遭遇するたび自分に問いかけてしまいます。
 編集部にいると他の歴史雑誌の動向や内容が気になりますが、でも本当に越えなければならないライバルは先輩たちなのかもしれません。
 読者の人生を狂わせる(?)くらいの記事がつくれる編集者になれるよう、日々努力してゆきたいと思います。

(by ジョニー/歴史群像124号)

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