編集後記

来年のカレンダーは癖が強い――?

「今年も来たか~」
「今までイラストでやって来てましたけど、今回は写真にしようと思うんです」
「写真?」
「そう、彩色で」

 編集長との、そんな会話から『歴史群像』付録・2018年度版カレンダーの製作がスタートした。好評連載中の「銘艦HISTORIA」の目玉である白石光・山下敦史の名コンビによる彩色写真がカレンダーに! が、問題はどの軍艦を選ぶか。縛りというか、括り方と選択が重要だよなぁ。
 日本海軍括り……いやいや、以前の企画記事と似てしまいそう。空母括り……は、軍艦としての力強さが弱い。なら水雷戦隊……は、やはり魚雷射ってなんぼだし、そういう写真ないし。ここは航行しているだけでも絵になる戦艦で!
 お次は艦の選択。各国海軍を代表する“BIG GUN”を、とも考えたのですが、そこは一捻りしたくなるのが歴群編集の性というやつで――。そこでいくつかの候補を、艦自体のスタイル、特徴的なデザインの艦、という篩にちょこっとかけて決まったのが今回のカレンダーに掲載した銘艦たち。1・2月の『陸奥』だけは、見た目の勇壮さ、戦艦らしいビジュアルにこだわって選びましたが、他の艦は艦橋デザインの独自性(お国柄が出るし)等の要素を重視してます。
 イタリア海軍、ごめん。ソ連海軍、もう少し戦艦造っとけばよかったね。
 カレンダー巻末の編集部企画は、米軍による艦艇識別表には、カレンダーの各戦艦がどう描かれていたか、をポイントに構成してみました。自軍の『ウェストヴァージニア』は、姉妹艦も含めてコロラド級としてひとまとめにしているかと思えば、敵国である日本の扶桑型では『扶桑』と『山城』で異なる三番砲塔の向きといった違いを認知させるため、わざわざ小さいシルエットを併載するといった細かさも見えます。
 12年前の本誌73号に日本海軍のものを題材に艦艇識別の記事を組んでいますので、お持ちの方は日米海軍の艦艇識別表を比較してみてはいかがでしょうか。

 (by 熊右衛門尉/歴史群像146号)

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