編集後記

実物だけでなく「城プラ」にもブーム到来?

3年前に組み立てた熊本城「城プラ」の全景。本丸の天守と宇土櫓が再現されています。キットは童友社の「日本の名城プラモデル デラックス版 熊本城」、スケールは1/350。庭や石垣周辺の草木は、付属のパーツ以外に、ジオラマ用のスポンジを追加して製作しました。

モールドで再現されている石垣は塗装でメリハリを付けました。天守と宇土櫓、塀はストレートに組み立て塗装しただけです。建物や庭などの細部にこだわるならば、ディテールアップに挑戦してみるのも良いでしょう。大天守の鯱の片方は保存中に欠損して、取れたパーツは行方不明に……。鯱は再生したいと考えています。

 いまだ脅威が続く新型コロナウイルス感染症(COVID-19)。外出の自粛により自宅で過ごす時間が増えました。そして、新しい生活様式の中で学業や仕事以外の過ごし方にも変化が生じ、親子での料理、部屋の片づけと断捨離などが話題となっています。このような状況で、趣味のジャンルの一つであるプラモデルも需要が伸びたようですが、中でも「城プラ」の売り上げが急上昇したと聞きました。
 『歴史群像』読者にはご存知の方も多いと思いますが、「城プラ」とは、主に戦国期に建造されたお城のプラモデル(プラスチック製のほかに木製キットもあます)です。その歴史は古く、昭和30年代後半には初のプラモデルが発売され、以後、模型店には必ずと言ってよいほど店内に置かれている商品です。現在も国内メーカー数社から発売されており、スケールは1/1500、1/800、1/500、1/400、1/300、1/150など。種類も大阪城、熊本城、姫路城などから天守が現存しない安土城や江戸城もあります。また、組み立てに接着剤や塗装が不要なものから天守の内部を再現する精密キットまでと幅広く、ビギナーからベテランまでが楽しめる内容になっています。
 私も子供の頃からミリタリーを主に様々なジャンルのプラモデルを作ってきましたが、「城プラ」に手を出したことはありませんでした。その理由は簡単で、城に興味が無かったから。そして、プラモデルから遠ざかること10数年、作るのを再開した翌年の2016年(平成28年)4月に発生した熊本地震をきっかけとして、3年前に「熊本城」のキットを初めて作ってみました。
 このキットを作ったことで、「城プラ」は天守や櫓を作るだけでなく、庭や塀なども含めてジオラマ的に再現できることから、作る楽しさだけでなく、完成したあとも見て楽しめるという特徴と魅力があるということを再認識しました。
 コロナ禍で「城プラ」を作る人が増えたということは、数年前から続く城ブームや長くなった在宅時間だけでなく、前述したように同キットが持つ特徴と魅力が一つの理由ではないかと思います。これからの秋の連休には好みのお城のキットを選び、歴史の再現に挑んでみてはいかがでしょうか?

(by by毛沢山/163号)

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