制作こぼれ話

編集部レポート
続報!NHKドラマ『坂の上の雲』会見取材(歴史群像88号)

 本誌88号の「編集部リポート」にて、2009年秋に放送予定のNHKスペシャルドラマ『坂の上の雲』のキャスト発表会見の模様をお伝えしましたが、その続報が入りましたのでお知らせいたします。

記念艦「三笠」にて行われたロケ取材会に密着

中甲板にある士官室。ここで短い会見が開かれました。

会見の後、上甲板の主砲横にて写真撮影が行われました。

三笠公園に建つ東郷平八郎像。“渡”東郷さん、なかなか似ているような気がします。

 去る3月4日、神奈川県横須賀市の三笠公園にある記念艦「三笠」にて『坂の上の雲』のロケ取材会が行われました。併せて重要な登場人物である東郷平八郎を渡哲也氏が演じることも発表され、「天気晴朗なれど“撮影長し”」という「三笠」にちなんだ口上で笑いをとった渡氏と、秋山真之役の本木雅弘氏が登場しました。
 といっても、今回の撮影シーンは日露海戦ではなく、日清戦争の3年前にあたる1981年7月。親善訪問と称して広島・宮島沖に来航した清国北洋艦隊の提督・丁汝昌(ていじょしょう)の招待による軍艦「定遠」艦内見学において、呉鎮守府参謀長・東郷平八郎と少尉候補生・秋山真之が出会う…という、ドラマ第1部第3回【国家鳴動】の一場面。のちの日本海海戦の帰趨を決する2人の出会いという重要なシーンは、一般には公開されていない下甲板の通路に撮影用セットを組んで撮影されました。また、会見には中甲板中部の士官室が使用され、同じく中甲板の前部~中部には、在日中国人や中国から来日した俳優・エキストラが10数名ほど弁髪スタイルで待機していました。
 会見では、撮影が始まる前に個人的に「三笠」を訪れたという本木氏が、「今日行われる撮影は三笠の撮影ではありませんが、ほとんど復元とはいえ、この艦の上で撮影するということに感慨深いものがあります。百数十年というわりと近い昔に、国家存亡の命運をかけて死闘が行われたということに計り知れない重みを感じ、そしてその重みを秋山真之さんは東郷平八郎さんの下で背負いきったという現実に、またあらためて驚きを感じました」とコメント。
 スタッフによると、歴史的にも、また原作者・司馬遼太郎氏にもファンの多い作品だけに、イメージを崩さないよう時代考証や爆薬使用可能なロケ地さがしに奔走しているそうです。数か月後には本当に「三笠」を舞台にしたシーンも撮影する予定があるとのこと。
 放映はまだまだ先ですが、楽しみに待ちたいと思います。

(文=門脇弥沙)



渡氏について「心の中の何か熱いものを引き出してくれそうな、深い信頼感みたいなものを瞬時に感じました。“渡”東郷さんの下で、撮影における日露戦争を乗り切っていけたらと思っております」と本木氏。そう評された渡氏は照れながらも「リハーサルで初めて本木くんと会ったのですが、その眼光の強さと凛としたところ、品格、こういう若い人と3年間一緒にやれるんだなと思いました。力を合わせて、緊張感のある現場をもっていきたい」とコメント。原作に勝るとも劣らない関係が窺えました。


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