編集後記

サムライフェスin南相馬
―壮絶!! 騎馬武者の聖地で集団チャンバラごっこ―

野馬追の地だけあって、乗馬体験もでます(写真は2016年のもの)

運営本部前で準備中の江戸衆。仮設の建物は屋台もふくめて、こうした陣屋風です(写真は2017年のもの)

合戦前に鬨の声を上げる相馬軍(サムライフェスFBより転載)

 149号をお読みになっている読者の皆さま、ゴールデンウイークはいかがでしたか。読書、史跡めぐり、それとも山城探訪? 拙者は、あの「野馬追」の会場、南相馬市の雲雀ヶ原祭場地で、ひと合戦仕って来もうした。
 なにそれ?
 えっと、ですね。約70人の人数で、鎧を着て、鑓で相手をド突き合って倒すという、ある種の子供にとって夢のような遊びです。
 正しくは「第4回 サムライフェスin南相馬」というイベントでございます。
 紹介すると、このイベント、特筆すべきは、震災復興になにか役立つことができないか? という地元高校生が企画し、立ち上げ、そして運営のメインになるという、他に例のないイベントなのです。さすが、野馬追の地、南相馬。
 第1回は2015年に、まず5月にプレ大会を開催。同年秋に第1回、翌2016年から開催日を5月5日の端午の節句とし、今年まで着実に回数を重ね、今回は第4回。
 このイベントの中心になるのが、相馬VS.伊達の戦闘として東北戦国史に名高い(伊達政宗の初陣でもある)「矢の目の戦い」(天正9年=1581)を模した、鎧を着て集団で行う模擬戦なのです。
 合戦(模擬戦)参加者は、一般公募で、鎧は、足軽甲冑を模したものを高校生たちが自ら作成(参加者は自前の甲冑もあり)。むろん模擬店や、伝統の芸能の演舞、さらに今どきならではで、コスプレ大会もありますから、大人たちの手助けがあるとはいえ、高校生と少数のOBたちで運営するのには、まったく頭がさがります。
 そうした歴代高校生たちの熱意と毎年向上するイベント運営技術のおかげで、合戦の参加者のみならず観客も少しづつ増え、ことしは5000人近くのお客さんが見に来てくれました。これ、南相馬という必ずしも交通や宿泊の便が良いとは言えない地での手作りイベントとしては、すごいことだと思いませんか?
 さて、ここからは拙者の個人的な話。
 拙者が、このイベントに関わるようになったのは、いつもの甲冑仲間から声をかけられてのこと。通称「江戸衆」と呼ばれるようになった拙者たちは、安全な武器(先端にスポンジを巻き付けた鑓)や簡易鎧の作成方法、模擬戦のノウハウの指導要員として、南相馬に招かれたのですが、今や完全に、高校生に遊んでもらう立場。
 あの野馬追は御神旗争奪戦の会場という夢のような場所で夢のような時間を過ごさせもらいました。
 そんなわけで、これをお読みになった読者の方で、我と思わん者は、来年こそは是非、相馬に馳走するべし。

 (by 樋口左衛門尉/歴史群像149号)

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追記。
当日の合戦の様子と2017年の公式動画です。
https://www.youtube.com/watch?time_continue=1&v=ZdIUH5gx84s
https://www.youtube.com/watch?v=tvef-qwGjH0

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