編集後記

複葉機時代、到来す?

 好評をいただいております、カラーページの連載企画「日の丸の翼」。134号では、“赤とんぼ”の愛称で知られる九三式陸上中間練習機を取り上げました。名機と言われることが多い機種ですが、中間練習機としては必ずしも評価されていなかったことなど、軍用機開発らに横たわる問題と、急速に航空技術が発展する中での未来予想の難しさを改めて感じさせてくれました。と言いつつ、メインのイラストは筑波山麓を望みながら飛行訓練する赤とんぼの編隊を描いています。景色に見とれ、高度を下げすぎてしまって教官にどつかれる訓練生――実戦の空気感とはまだ縁遠い、ほのぼのした雰囲気を味わっていただければ幸いです。
 連載も次の135号で50機種目という節目を迎えます。何が登場するか、お楽しみにお待ちください。大戦中に活躍した人気機種に加えて、試作機や航空黎明期、発展期の機体を扱うことも多くなってきましたが、特に大戦間期の複葉機は、当時の日本航空産業界の軍用機国産化という一大目標に向けたエネルギーを感じさせます。掲載する機種の選定にも、ついつい熱が入りますね。
 日の丸の翼No.42でとりあげた「九五式戦闘機」も、設計者の熱意が高性能に結び付いた機種でした。絵のモチーフは、70年以上も前に「空の軍神 加藤少将」と題して一般にブロマイドや絵葉書で販売されていたもの。それをもとに、佐竹政夫画伯に加藤建夫大尉(当時)が所属していた飛行第二大隊の基地の風景と背後に駐機する愛機の全容を再現していただきました。本サイトにて近々、このイラストの元になった九五式戦闘機と加藤建夫大尉(当時、最終階級少将)の写真を組み合わせ、壁紙としてアップする予定です。こちらもお楽しみに。

 (by 熊右衛門尉/歴史群像134号)

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