編集後記

ロクム=ゆべし?

 今号の「戦士の食卓」で紹介していますトルコ菓子のロクム。誌面の製作に際して詳細を調べていると、日本にもロクムに似た食品があることを知りました。
 それは、平安時代末から鎌倉時代初期に誕生したと伝えられ、保存食や携帯食から菓子へ変化したという「ゆべし」です。
 各地に残るゆべしの歴史は様々で、戦国時代の兵糧から、松山では第二代藩主小堀政一が考案した、鹿児島から江戸に向かう途中で食した篤姫も好んだなどの逸話も残されています。また江戸時代には各藩から将軍への献上品として用いられるほどの名物にもなっていました。
 ゆべしは「柚餅子」と書くように、基本的には柚子を使用して作られます。製法は江戸時代に文献でも紹介されていますが、各地で作られたゆべしは、その土地で入手可能な材料と方法で作られました。
 アジアの西と東の両端で誕生したロクムとゆべし、味の違いだけでなく、歴史を感じながら食べ比べてみてはいかがでしょうか?

 (by 毛沢山/歴史群像145号)

NEXT    TOP    BACK