オールカラーの『歴史群像』誕生!?
第二次大戦は、写真・映像技術の向上により、戦争のあらゆる断面が鮮明な「絵」として切り取られた戦争である。こうした映像・写真の中には、撮影者が砲煙弾雨の中に飛び込んで撮影したものも多く、戦場のリアリティーを現代の我々に伝えてくれる。ただ残念なことに、その多くが「モノクロ」であった。そこで、モノクロ写真に着色を施すことで、撮影当時の色彩を現代に蘇らせようと企画されたのが本誌記事の「COLOR DOCUMENT」だ。前回の戦艦『ビスマルク』は大きな反響があったが、今回は空母『飛龍』を軸にミッドウェー海戦の日米両軍を色鮮やかに蘇らせている。
現在は、パソコンとイラスト作成・写真修正用のアプリケーションがあれば写真に色づけすること自体は難しくないが、単に色づけするのと色彩再現は似て非なるもので、兵器や服装の色はもちろん、光の当たり方などにも考証が必要。というわけで前回に続き、本誌記事の執筆者である白石光氏に監修をお願いした。たとえばP117の空母『ヨークタウン』艦上を見ていただければ、飛行甲板左縁に立っている要員の陽光を受けて服の色が飛んでいる感じであるとか、その遠方が消火活動中の白煙でくすんでいる感じとか、事細かに再現を試みていることがお分かりいただけると思う。
軍艦や軍用機の色は判明しているが、それが実際に太陽の下にあった時にどう見えるのか、という点については資料の詳細な分析に加え、欠けている部分を“想像力”と“センス”で補うことも必要なのだ。また彩色を担当していただいた山下敦史氏の“腕前”も、注目してほしい。モノクロ写真に後彩色すると、いかにも「色を乗せました」という感じがするものだが、山下氏の手にかかるとまるで最初からカラー写真であったかのように色彩が蘇る。ならば、本誌の記事の写真を全部カラーにして、オールカラーの『歴史群像』ってどうよ……などと考えてもみるのだが、なにしろ考証と彩色の一連の作業は「塗っては確認し、修正してはまた確認」という地道な作業の繰り返し。時間もかかる。実は、とっても贅沢な記事なんですよ。
現在は、パソコンとイラスト作成・写真修正用のアプリケーションがあれば写真に色づけすること自体は難しくないが、単に色づけするのと色彩再現は似て非なるもので、兵器や服装の色はもちろん、光の当たり方などにも考証が必要。というわけで前回に続き、本誌記事の執筆者である白石光氏に監修をお願いした。たとえばP117の空母『ヨークタウン』艦上を見ていただければ、飛行甲板左縁に立っている要員の陽光を受けて服の色が飛んでいる感じであるとか、その遠方が消火活動中の白煙でくすんでいる感じとか、事細かに再現を試みていることがお分かりいただけると思う。
軍艦や軍用機の色は判明しているが、それが実際に太陽の下にあった時にどう見えるのか、という点については資料の詳細な分析に加え、欠けている部分を“想像力”と“センス”で補うことも必要なのだ。また彩色を担当していただいた山下敦史氏の“腕前”も、注目してほしい。モノクロ写真に後彩色すると、いかにも「色を乗せました」という感じがするものだが、山下氏の手にかかるとまるで最初からカラー写真であったかのように色彩が蘇る。ならば、本誌の記事の写真を全部カラーにして、オールカラーの『歴史群像』ってどうよ……などと考えてもみるのだが、なにしろ考証と彩色の一連の作業は「塗っては確認し、修正してはまた確認」という地道な作業の繰り返し。時間もかかる。実は、とっても贅沢な記事なんですよ。
(by 熊右衛門尉/歴史群像113号)