サイト内検索

機動戦士ガンダム 一年戦争全史 U.C.0079-0080〈上〉〈下〉 模型作品解説

「島3号型スペース・コロニー」をフルスクラッチビルドする

製作・文/髙木亮介

宇宙世紀の象徴といえば「島3号型スペース・コロニー」。やはり立体物がほしい。ということで、髙木亮介氏に映画撮影用プロップ製作のテクニックを発揮してもらうことに。しかし正直、こんなに大きくて本格的なものになるとは思ってませんでした……。
スペース・コロニーの製作
 スペース・コロニーはサイズを100ミリ以上に、という発注だったのですが、ガラスやミラー部分をある程度リアルに表現するには最低でも全長200ミリは欲しいと思ったので、手近にあった直径60ミリのアクリルパイプで本体を製作することにしました。
 コロニーの設定上の直径は6.4キロとのことなので、これは約1/10万のスケールになります。しかし、実際に図面を引いてみると、直径60ミリでは全長が400ミリにもなることが判明、予想外に巨大な製作物となってしまいました。大失敗です……。
 気をとりなおして製作に入りましょう。まずアクリルパイプを半分に割ってコロニーの窓部分の格子状モールドを入れます。円筒内面の陸地は、バンダイミュージアムで買ってきた『モビルスーツ・ミュージアム公式プログラム』掲載のコロニー地図をカラーコピーして貼り付けて表現しています。
 アクリルパイプを貼り合わせ、次は外装の製作です。コロニーの外装もやはり、『公式プログラム』掲載のCG画像を参考にしてCADでデータを作り、両面テープを貼ったケント紙をレーザーカットします。そして、カットしたケント紙を外装に合わせて貼っていきます。今回は、透明部分の曇りを防ぐため、接着剤を使用せずになるべく両面テープを使用するようにしたのですが、両面テープは熱に弱く剥がれやすいことには悩まされました。
 コロニーの両端部分は、ファースト・ガンダム放映当時は円錐形の平面的デザインでしたが、その後いつの間にかデザインが変わり、半球体になっています。ここはABSの丸棒を削り出して製作しています。これで本体部分はほぼできあがりとなります。
 次にミラーですが、本来撮影用ミニチュアでは不要なものが映り込みやすい鏡などのパーツは避けるべきなのですが、今回は画像の後加工が容易なスチール撮影のみということなので、思い切って本物のミラーを使ってみることにします。アクリルミラーをレーザーカットして使用したのですが、形が細長いためアクリル板の自重でミラーが撓むことがわかりました。このため、アルミ板をミラーと外装の間に挟み込んで強度を持たせています。
 今回初めて気づいたのですが、『ガンダム』のコロニーは、ミラー板自体は可動しない設定になっているんですねー。昔は、ミラー板の角度を変えて光量の調節をすると聞いていたような気が……。
 最後に、丸いフレームのプラント部分の製作です。まず円型の冶具を作り、針金をきれいな円型に曲げたものに、支えの直線アームをロウ付け。円周上にはレジンキャストで抜いたプラント群を接着します。
 運搬や撮影時の都合を考えて、本体と3枚のミラー、プラント部分は互いに接着はせず、六角レンチを使って取り外しできるようにしました。撮影時には本体にアームを取り付けてガッチリ固定できるようにしてあります。