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機動戦士ガンダム 一年戦争全史 U.C.0079-0080〈上〉〈下〉 模型作品解説

ジムVSドム、宇宙における剣戟

製作・文/髙木亮介   使用キット/バンダイ マスターグレード RGM-79ジム、MS-09Rリック・ドム

ジムとリック・ドムによる「宇宙のチャンバラ」を映像化するため、再び髙木亮介氏がマスターグレードに挑戦。普段やられ役のジムを、なるべく“強そうに”してもらうのが今回の狙いだ。
ジムの製作
 完成した誌面ではドムとジムが一騎打ちしていますが、編集部から最初にもらったラフスケッチは2機のジムがよってたかって1機のドムに斬りかかっているというものでした。これではアニメで主人公(=正義)側の連邦軍が卑怯な悪者のようにみえますが?ときいてみたところ、「この本ではそれでもいいんです」という返事。ま、戦争に正義も悪もあったものではありませんが、製作にあたってはジムをなるべく手強そうに(敵モビルスーツのように?)見えるようにしました。
 まず、キットのままでは足が長くヒョロヒョロしているように感じます。もう少しがっしりと強そうな体型にしてやりたいので、脚を4mmほど短くしました。膝のパーツと脛の間でカットして加工すれば、継ぎ目が目立たないように足を短くできます。
 次にふくらはぎにあるスラスターノズル、そして足の裏のノズルをディテールアップしました。高機動型ザク同様の装甲表面のフックはジオン側がアールのあるラダー状のもので、連邦軍側が角に丸穴があるタイプとしてみました。差し替え用のダメージパーツとして、サーベルが胴体を貫通している「ジムの串刺し」というものも作りましたが、結局没になったようです。
 私としては、ジムをもっと悪者っぽく強そうに見せるために、最凶武器のガンダム・ハンマーを持たせたかったのですが……。
リック・ドムの製作
 リック・ドムのキットは内部メカに装甲板が被さっている、という構造になっていたので、キットを2体分用意してダメージ装甲を作り、シーンによって差し替えできるようにしました。
 また今回のモビルスーツについては、すべて関節にカバーがついております。これは塵芥が関節部分に入らないようにガードするもので、これが今回の模型の特徴のひとつです。関節は可動できるように作るため、カバーの材質も伸縮できるものを使用しなければなりません。ラバー素材とかシャッター形状のものとかいろいろ考えましたが、結局「2ウェイトリコット」という生地を使いました。
 トリコットという生地はレオタードなどに使用する生地でよく伸び、切り口からほつれてこない使い勝手のよい生地で、針で縫うことはもちろんGボンドで接着もできます。
 ところで、なぜドムには通常中隊長機アンテナがないのでしょうか? あってもいいはずだと思い、上巻で作ったザクⅡ用のアンテナが残っていたのでアンテナ付きの頭部も作っておきましたが、これまた使用されずに終わりました。

→関節部の防塵カバーとともに、本企画に登場のMSにほぼ共通して取り付けられた吊り下げ用のフックのCAD図面。通常なら手作業でひとつひとつ作るような追加パーツも、髙木氏の場合は能率化を図り、また正確を期するため、CADを利用することが多いようだ。