●零戦五二型
世界でも唯一無二の貴重な零戦五二型。故郷である日本には、復元機(二一型)やレプリカ、未修復の機体はあるものの、飛行可能なコンディションのオリジナル度の高い機体はありません。遠くアメリカの地で大切にされているのはありがたい限り。とはいえ、来日した五二型も戦後60年余りを経過して機体の経年劣化が進んでおり、今回の来日(実は3回目)では飛行展示は叶わず、エンジン始動とタクシング(4月1日にイベント会場内での短距離滑走)の展示となりました。どちらの展示も日程と見学参加人数が限られており、見学できなかった方のために、歴史群像本誌の編集スタッフによる撮影画像と収録音源をお届けします。
ちなみに、本誌読者の皆様はご存知かと思いますが、零戦五二型について触れておきましょう。同機は、大戦初期に名を馳せた零戦二一型より続く改良型の一つであり、零戦の完成形といってもいい形式です(本誌117号『日の丸の翼』参照)。1000馬力級エンジン搭載の機体は、間近で見るとコンパクトな機体に多くの機能、機器を詰め込んだ凝縮感と共に、戦う力も備えた“海鷲”の風情も感じさせてくれます。エンジン始動で小刻みに振動する機体を見ると、今にも獲物を求めて飛び立ちそうな……などと想像(というか妄想)も膨らみます。
取材協力・所沢航空発祥記念館