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千年の時を刻む出羽の古道 「六十里越街道」

【第1回】出羽三山の奥宮、湯殿山へ


ちょっと足をのばして 月山&羽黒山へ

 少しルートからは外れるけど、湯殿山まできたら、出羽三山を制覇。月山、羽黒山もめぐってみよう。

月山神社


「雲の峰いくつ崩て月の山」松尾芭蕉
 延喜7(907)年の延喜式神名帳に名神大社として記載されるほどの歴史と由緒を誇る神社。本宮社殿は冬場、日本海からの強風にさらされ豪雪に閉ざされる標高1,984mの月山山頂に建つ。
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←(上)月山神社本宮
昔の庄内の里人たちは、ここに阿弥陀如来の座す極楽浄土をみとめ、先祖の霊が宿ると信じた

←(左)弥陀ヶ原
八合目付近に開けた湿原。高山植物の宝庫として知られる月山の中でも絶景のポイント。夏場、木製の遊歩道は格好のハイキングコースとなる

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出羽三山神社

出羽三山神社 三神合祭殿

「涼しさやほの三日月の羽黒山」松尾芭蕉
 羽黒山山頂に鎮座。古代においては出羽神社一社であったが、現在の社殿は冬期は積雪のため登拝が困難な月山神社、湯殿山神社の里宮として月山神、湯殿山神を合祀する三神合祭殿となっている。
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羽黒山への道

 出羽三山神社の社務所から羽黒山山頂までは、2,446段の石段を上る。上りが徒歩約50分、下りは約40分の距離だ。山頂までの自動車道もあるが、ぜひ徒歩でチャレンジしたい。

表参道登拝口
石鳥居の奥にある大門が随神門。この門から山頂まで、江戸時代の羽黒山中興の祖といわれる別当・天宥が築いた2,446段の石段が続く




継子坂
随神門をくぐると、まずは下り道となる。静謐にして神秘的な異世界に、深く入り込んでいくような感覚にとらわれる。まさに胎内回帰のイメージだ




神橋・須賀の滝
神域と俗世界との境界となる祓川に架かる神橋を渡る。祓川に注ぐ須賀の滝は、江戸時代に月山から引かれた灌漑用水が落ちる人工の滝。参道はここから先、ずっと上りとなる

三の坂
うっそうと茂る杉木立に包まれた参道を上ること約50分。この坂を上りきるとようやく山頂へと辿り着く




五重塔
平安時代、平将門の創建と伝えられる山内で最古の木造建築物。こけら葺きの屋根と素木の造りが周囲の景観に美しく溶け込むように馴染んでいる




神橋

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三神合祭殿


 羽黒派修験の根本道場にして、月山神、湯殿山神を合わせ祀る。高さ28m、厚さ2m以上もの萱葺き屋根の大きさには目を見張るものがある





鏡池
三神合祭殿のすぐ前にある池。信仰のために沈められた平安時代から江戸時代中期までの鏡が多数出土したことから名付けられた。古くは御手洗池とも呼ばれていた

これまで500面以上の古鏡が発見された鏡池にちなんだ絵馬

霊祭殿
元々は先祖の霊魂が宿る山として信仰されてきた出羽三山。先祖霊の鎮魂のために来山する人々のために、昭和58(1983)年、再建された

昔の月山参拝道
羽黒山山頂から月山へと向かう参道。元禄2(1689)年、三山を回峰した松尾芭蕉もこの道を通ったことから、奥の細道歩道と呼ばれている

荒沢寺
この地は、羽黒山の開祖・蜂子皇子が修行をした場所と伝えられる。昔の月山への登り口になっており、山門をくぐり観音堂の前を過ぎると、「是より女人きんせい」の碑が建つ

正善院黄金堂
33体の黄金の観音像が安置される。場所は、三山参詣者のための宿坊が軒を連ねる手向集落の西端。廃仏毀釈の嵐が吹き荒れたころ、五重塔にあった観音菩薩像や妙見菩薩像などが、僧侶の機転により密かにここに移されたことで難を逃れたと伝えられる