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北軽井沢の草原地帯を走る草軽電鉄 小瀬温泉~長日向間にあった柳川橋梁を渡るコッペル蒸気機関車1号 飾り付けをされて最後のサヨナラ電車となったデキ12形-13号車とホハ30形客車
 シーズンともなれば大勢の観光客で賑わう旧軽井沢周辺。現在の町の様子からは想像もつかないが、かつて軽井沢駅からメインストリートを貫いて、北軽井沢の高原地帯を抜け、東日本を代表する温泉地・草津まで走る列車が存在した。
 正式な名称は、「草軽電気鉄道」。1915年(大正4)に草軽軽便鉄道として新軽井沢~小瀬(のちの小瀬温泉)間が開業し、全長55.5kmの全線が開通したのは1926年(大正15)のこと。「四千万尺高原の遊覧列車」をキャッチフレーズに、廃線となる1962年(昭和37)まで、半世紀にわたって多くの観光客や湯治客を運んだ。列車の平均時速は20kmほどで、新軽井沢~草津間を約3時間半で結んでいた。まるでオモチャのようなミニ列車で、女性が途中で飛び降り、花を摘み、また乗ることができたという、のどかなエピソードも残されている。
 現在でも、草津へのアクセスは不便この上ない。この電車が走っていれば、多くの観光客で賑わったであろうと残念でならないのだが、今では、その痕跡をたどるのも困難になってきている。避暑地のあちらこちらに残された草軽電鉄の面影をたどって、今はなき高原列車の旅を追体験してみたい。
草軽電鉄路線図

旧北軽井沢駅舎 草軽電鉄の沿線で、ただ一つ現存している駅舎遺構

柳川橋梁跡 ジャングルのような緑に覆われた橋梁跡は、古代の遺跡を思わせる

新軽井沢駅ホームの屋根 草軽交通整備工場の敷地内に移築されている


資料・写真協力:
 草軽交通株式会社


第1回  草軽電鉄の歴史と全車輌

第2回 草軽電鉄 新軽井沢駅周辺

第3回 草軽電鉄 旧軽井沢駅~北軽井沢駅