日本の歴史を牽引してきた~鉄道遺構を訪ねる ● 峠の湯からめがね橋へ 遊歩道は峠の湯からいよいよアプト式時代の旧碓氷線に入る。道も一段と山の中に入り、勾配も増してきびしいルートとなるが、緑に囲まれているため気分は爽快だ。自然の美しさと合わせて連続するレンガ造りのトンネルや橋をじっくりと観察したい。それぞれに形・デザインが異なり興味深い見どころのひとつだ。めがね橋からの復路は同じ道を戻るしかないが、峠の湯から先は中山道の宿場町・坂本宿を経由して戻るのもいいだろう。
● 碓氷湖 坂本ダムによってできた人造湖。新緑、紅葉と周囲の自然を湖面に映す静かな湖だ。ルートの中間にあり絶好の休憩ポイント。「めがね橋」をモチーフにした橋が架かり、湖を一周する散策路(一周約1.2km、約20分)が造られているので、のんびり周遊するのもおすすめ。
● 碓氷第2橋梁 第1トンネルと第2トンネルの中間にある高さ約12m、長さ約25mのレンガ造りの橋。アーチの両脇にピラスター(付け柱)もある立派な造りだが、現在は転落防止柵が設置されていて、遊歩道を歩いていると橋の存在に気がつかない人も多い。 ←周囲はうっそうとした竹林になっている。 ● 第10カルバート 碓氷線は多くの渓流を横断しており18カ所もの橋梁が造られたが、その他に小さな規模の橋も多い。建設当時の基準でアーチの径間が10フィート(約3メートル)以下のものはカルバート(橋渠)と呼ばれた。第4と第5の間にある第10カルバートは小規模ながらもレンガのアーチを持つしっかりとした造りだ。 ←小さいながらもレンガ造りのカルバート。 ● 碓氷第3橋梁(めがね橋) 碓氷線の構造物の中では、最大のレンガ造り4連アーチ橋。アーチの径間は約18m、高さ約31m、長さ約91mで、設計者はイギリス人パウナル技師。建設当時に使用したレンガは202万8000個に及んだという。1892年(明治25)に完成し、その後、1896年(明治29)に補強工事が施されている。迫力ある大きさとデザインの美しさは感動的、碓氷線のシンボルともいえる存在だ。 ←旧国道18号線のC31カーブ地点にある。 ● 坂本宿 中山道の難所・碓氷峠を控えた宿場として栄えた。宿内は約700m、東側(江戸口)、西側(京口)ともに木戸が設けられていた。道の中央には堀があり、戸数は150軒ほどで、そのうち約50軒が旅籠を営んでいた。バイパスや高速道路が完成してからは国道の交通量も減少し、そのために昔の面影を今も残している。各家には宿場時代の屋号がかけられている。 ←(上)坂本宿の入口。奥に見える山が中山道碓氷峠のある刎石山。 |