雑誌『歴史群像』は、1992年6月に創刊されました。当時は「人物・戦い・事件」の検証がテーマの総合歴史雑誌でスタートしましたが、読者の人気の高い「戦い」を中心にした編集方針へとシフト。現在は「ミリタリー・戦史Magazine」に生まれ変わりました。
人類の歴史は戦争の歴史でもあり、そこには多くのドラマと学ぶべき教訓があります。これからも戦史をもとに、さらに興味ぶかい誌面づくりを目指します。
~~今号の内容~~
■ 特別企画
●新写真発見!
就役から間もない頃の空母『赤城』
多段式飛行甲板時代の秘蔵カットを公開!
(文=編集部)
兵器から読み解く
●『ゴジラ-1.0』
描かれた終戦直後の日本と旧日本軍
リアルに再現された旧日本軍兵器が続々登場する話題の映画『ゴジラ-1.0』。そのこだわりの背景に見えてくるのは、“戦後も戦い続けた者たち”への視線だった。(文=戸津井康之)
■ 第一特集
●実録 戦艦武藏建造
艤装・公試・引渡し…艤装員たちの2年間
『第二号艦』の名称で建造が進められた戦艦『武藏』建造に際しては、艦名を秘匿するだけではなく、その姿を隠すために厳重な対策がとられた。艤装員として建造現場に参加した海軍軍人たちの証言から、艤装と公試の実態に迫る。(文=手塚正己)
■ 第二特集
●本願寺顕如vs.信長 大坂十年戦争
信長を苦しめた武装教団の結束力
本願寺宗主・顕如は、上洛した信長から多額の札銭を課された。それを納めたものの、両者の関係は徐々に険悪になっていき、真宗門徒の挙兵をうながす大坂本願寺の鐘が鳴り響いた。これが大坂を中心とし、諸国の大名や一向一揆を巻き込んで繰り広げられた、本願寺と信長の長い戦いの幕開けであった。(文=桐野作人)
■ 第三特集
二十世紀フランスを動かした「巨人」の足跡
●ド・ゴール伝
第二次大戦緒戦で敗れたフランス。誰もが敗北に打ちのめされる中、一人の男が徹底抗戦を呼びかけた。今も現代フランス政治に多大な影響をあたえている「巨人」の事績を解き明かす。(文=山崎雅弘)
■ 検証/ドキュメント
深刻な脅威に対抗する小国空軍の歴史と課題
●台湾空軍
1949年、国共内戦に敗れた中華民国政府は、中国大陸から台湾へと逃れ、以後75年にわたり、中国(中華人民共和国)と台湾(中華民国)の「2つの中国」の対立が続いている。その最前線で中国軍と対峙するのが台湾空軍の生い立ちと直面してきた問題、そして現状とは?(文=古峰文三)
"九州の桶狭間"を制した島津義弘の用兵
●木崎原の戦い
天文23年(1554)、有力分家との抗争を制した島津貴久は「三州太守」として薩摩・大隅・日向の平定に邁進するが、日向随一の勢力となっていた伊東氏と激突する。戦国南九州の覇権をかけた両雄の一大決戦を概観する。(文=長南政義)
「建国の父」は独立戦争をいかに勝利に導いたのか
●軍人 ジョージ・ワシントンの戦い
初代アメリカ合衆国大統領としてあまりに著名な「建国の父」ジョージ・ワシントン。大陸軍総司令官として独立戦争最大の英雄でありながら、意外に語られることの少ない、ワシントンの軍人としての側面を見ていく。(文=荒川佳夫)
最強の城を考える【番外編2】
●陣屋
"もう一つの近世城郭"の正体
江戸時代に城を持つことができなかった大名たちが住んだ陣屋。藩政の中心地という点では城と同じ役割を持つが、城の本質である軍事面ではどうだったのだろうか? 陣屋の正体を構造・防禦の視点からさぐっていこう。(文=西股総生)
[連載]西洋戦史研究 ナポレオン戦争
●ロシア戦役[第4回]
ボロディノの戦い(Part.1)
スモレンスクの会戦ののち、後退戦術を取ってきたロシア軍は、総司令官をミハイル・クトゥーゾフに交代させ、ロシアに深く入り込んだナポレオン軍との一大会戦に備える。(文=佐藤俊之)
■ インタビュー
戦艦『大和』で沖縄へ向かった最後の生き残り
●疇地 哲
海軍へ志願し優秀な成績を収めて『大和』に乗り組み、マリアナ沖海戦・レイテ沖海戦と沖縄特攻において対空戦闘を経験した二十五粍機銃射手。(文=久野 潤)
■ カラー企画
イラストでわかる!
●海自潜水艦
その発達と進化する能力
海上自衛隊の潜水艦の歴史は、アメリカ海軍から貸与されたガトー級から始まった。そしていま、潜水艦は日本の防衛に欠かせない存在である。進化を続ける海自潜水艦と、その戦闘法について迫ってみよう。(イラスト・文=坂本 明)
歴群シネマガイド
●アメリカの戦争映画
【後編】冷戦~対テロ戦争
第二次大戦終結以降、世界各地で軍事介入を繰り返すアメリカ。時代とともに大きく変化する自国の戦争・紛争の内実を、ハリウッドはさらに貪欲に取り込んでゆく。(文=大久保義信)
■ カラー連載
【戦国の城】石垣造りへと変貌した国境警備の堅城
●【因幡】若桜鬼ヶ城
(文・監修=中井 均・イラスト=香川元太郎)
【日の丸の轍】日本陸軍初の制式戦車
●ルノー甲型軽戦車
(文・監修=古峰文三・イラスト=上田 信)
【蒼空の記憶】連合軍を勝利に導いた「荷役馬」
●C-47 スカイトレイン
(写真彩色監修・文=白石 光・写真彩色=山下敦史)
【戦士の食卓】ビルマ鉄道隊の測量隊一行が食べた
●鯉の味噌汁
(文・料理・写真=水梨由佳)
【迷宮歴史倶楽部】戦場の銀輪
●軍用人力二輪車発展史③
(絵・文=モリナガ・ヨウ)
■ COMIC 新連載 第10回
●神聖ローマ帝国 三十年戦争(宮下英樹)
[第一章]冬の王〈第十話〉然に非ず