サイト内検索
編集者ひとくちコラム
歴史群像シリーズ特別編集 決定版『図解・江戸の暮らし事典』

“大人の絵本”を目指して

 今回の『図解・江戸の暮らし事典』は、読者の皆様に一枚のイラストや図をじっくり眺めながら、その中から様々な情報を読み取って欲しい、という願いを込めて、いつもの「図説」とは少し趣を変えた「図解」という新シリーズで江戸時代を解釈してみました。いわば“大人の絵本”を目指したわけです。

■本誌になじみの深い新宿区

 P14~15の「今に残る江戸の地名」では、東京都新宿区界隈の地名を拾ってみましたが、この中に本誌のなじみの深い場所が2箇所ありました。まずP14の「軽子坂(かるこざか)」には、デザイナーさんの仕事場があります。そして、P15の「納戸町(なんどまち)」には、本誌の印刷所の大日本印刷があります。写真は「日本印刷」となっていますが、これは「大日本印刷」とそのまま全部出すのはいかがなものか?と逡巡した編集部の配慮(!?)が表れています。

■掲載誌がない!?

 P82~85の「着物の着方」。この写真は以前小社が図鑑用に撮影したもので、フィルムが残っていたのですが、その掲載誌がいくら探しても見つからない。めぼしをつけた本にもこの写真は使われていない。どうやら撮影はしたものの、使われなかった写真らしいことが判明。この分解写真の解説文を書かなければいけない編集部は困ってしまいました。なぜなら参考資料がないからです。女性の着物は今ブームなので、着方の解説本はたくさんあるのですが、男性用は皆無に等しい。特に袴のはき方の解説がない。探した挙句やっと見つけたのは「結婚式の本」でした。ここに男性用の羽織袴の着方の解説があり、ほっと一息ついた編集部でした。

(文=編集長T)

TOP    BACK

新・歴史群像シリーズ⑨『本能寺の変』時代が一変した戦国最大の事変

戦国時代の“ブログ”が紐解く「本能寺の変」

■史料評価の面白さ

「本能寺の変」の魅力は動機、黒幕の有無など、その真相に関してさまざまな謎がちりばめられていることでしょう。誰もが知る大事件が、こんなにも謎に満ち満ちているのは、「天下」を手中にした光秀が、ほんの十数日で秀吉に敗れ、歴史の舞台から姿を消してしまうからでしょう。そのため光秀側の史料はほとんど残されていません。さらに、変への関与や光秀との関係を疑われるのを恐れて、処分されてしまった史料も多いことでしょう。そんな状況を髣髴とさせる史料が残されています。『兼見卿記』という日記です。筆者である吉田兼見は光秀ととても親密だった公家なのですが、この『兼見卿記』の天正10年(本能寺の変が起こった年)の条には『正本』と『別本』の2種類が存在します。『別本』の方がオリジナルなのですが、光秀との関係を疑われるのを恐れた兼見が、その親密さを薄めるように本人が改竄したものが『正本』として伝えられています。兼見のあせり様を想像すると、笑えてしまいますが、このように改竄される前のオリジナルが伝えられるのはレアケースでしょう。ここからわかるのは同時代に記された一次史料でも、当事者の書状や近親者の記録は、筆者の思惑によって事実が曲げられている可能性もあるということです。こうした中で客観史料として注目されるのが、戦国時代の“ブログ”なのです。むしろ当事者とはあまり関係のない人々が記した“日記”類が事件をどう記録しているかが重要なのです。「本能寺の変」の真相解明にも、こうした“ブログ”が多く利用されています。本誌「本能寺の変 関連史料」で史料評価とともに紹介したものをまとめておきます。こういった史料から変の真相を自分なりに類推してみるのも歴史を楽しむ醍醐味といえるでしょう。誰もが驚く新たな黒幕が浮かび上がってくるかもしれませんよ。

■本能寺の変 関連史料


編纂史料 書状史料 日記史料(戦国版“ブログ”?)
信長公記
惟任謀反記
川角太閤記
本城惣右衛門覚書
当代記
フロイス日本史
三河物語
明智軍記
河隅越中守書状
中川清秀宛秀吉書状
細川藤孝宛明智光秀書状
土橋平尉宛明智光秀書状
福屋金吾旧記文書 明智光秀書状
兼見卿記
兼見卿記別本
晴豊記
天正十年夏記
イエズス会日本年報
家忠日記
宇野主水日記
宗及他会記
言経卿記
多聞院日記
蓮成院記録

(文=編集担当Y)

TOP    BACK

[歴史群像]太平洋戦史シリーズ59号『ソロモンの激闘』

通巻60号を前にして

■太平洋戦史シリーズの歩み

 お陰さまで、[歴史群像]太平洋戦史シリーズは8月15日発売予定の『本土決戦』で通巻60号となります。これもひとえに読者の皆様のご支持のたまものと心より御礼申しあげます。今回は、太平洋戦史シリーズの歩みを簡単に紹介させていただきます。
 本シリーズ1号『奇襲ハワイ作戦』の発売が1996年2月ですから、早いもので創刊から今年であしかけ12年目ということになります。当初の企画は、全10巻で太平洋戦争の開戦から終戦までを、編年体で豊富なビジュアルを交えて描いていこうというものでした。ちなみに、1号から10号までのタイトルは以下の通りです。
 ①奇襲ハワイ作戦/②大捷マレー沖海戦/③勇進インド洋作戦/④ミッドウェー海戦/⑤ソロモン海戦/⑥死闘ガダルカナル/⑦ラバウル航空戦/⑧マリアナ沖海戦/⑨レイテ沖海戦/⑩連合艦隊の最期
 この全10巻が予想を上回るご好評をいただいたことでシリーズの続刊が決定します。戦史は10号までで一通りたどっておりカラーページはイラストがメーンでした。二番煎じは避けたい、それでは11号以降の目玉は何にしたらいいか。試行錯誤の末、戦史ファンに加えて模型ファンにもアピールするべくハンドメイドの精密模型を中心に据える構想が固まり、11号『大和型戦艦』として具体化しました。11号の100分の1「大和」から57号の150分の1「榛名」まで、スケールはさまざまですが、戦艦、空母、巡洋艦、駆逐艦、潜水艦etc.今まで数多くの精密模型が本シリーズの誌面を飾っています。
 また、本シリーズのコンテンツを活用した[歴史群像]太平洋戦史シリーズ特別編集の「パーフェクトガイド」シリーズも順次刊行しております。現在のラインアップは次のようになっています。
『日本の航空母艦パーフェクトガイド』、『零戦パーフェクトガイド』、『日本の戦艦パーフェクトガイド』、『日本陸軍軍用機パーフェクトガイド』、『日本の潜水艦パーフェクトガイド』、『帝国海軍艦上機・水上機パーフェクトガイド』、『Uボートパーフェクトガイド』、『世界の重巡洋艦パーフェクトガイド』
 今後とも本シリーズは、読者の皆様のご要望にこたえる誌面づくりを心がけていく所存です。ご愛読のほど、何卒よろしくお願いいたします。

(文=編集長W)