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「城下町探訪」 川越―東京がなくした江戸が残る城下町

Ⅱ 町の見どころ ②

喜多院  仙波東照宮  中院  新河岸川の河岸跡  氷川神社  蔵造りの町並み  近代のモダンな建築

※「Information」マークのついてる写真はクリックすると、詳細情報がご覧になれます。

氷川神社

6世紀、欽明天皇の御代の創建と伝えられる古社。川越城築城の折、太田道真、道灌が守護神として崇敬したことから、藩政時代に入ってからも歴代藩主が総鎮守として崇敬した。
毎年秋に行われる「川越祭り」は、ここ氷川神社の秋季例大祭である。この祭の原型を作ったのは知恵伊豆こと松平信綱で、時の藩主が神輿や獅子頭などの祭礼用具を寄進したのだった。そして前後して信綱は「十か町四門前」と呼ばれる城下の町割を定めると、祭りで神様を神輿にのせ、町中を渡御する神幸を行うことを奨励。その神幸から町毎の意匠を凝らした山車が練り歩く今日の「川越祭り」へと発展した。この祭りの奨励は、町割を都市基盤整備のためのハード政策とするなら、町人による町作りを促進するための知恵伊豆ならではのソフト政策であった考えられなくもない。



(右)豪華絢爛の山車。夜になって提灯に灯が入ると勇壮にして幻想的な趣に誘われる。(写真協力:川越市観光課)

(上)鳥居は高さ15m、木製では我が国最大級。「江戸彫り」と称される本殿壁面の彫刻は必見。


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蔵造りの町並み

江戸時代に高札場があり、町の中心であった“札の辻”の交差点から南側の仲町交差点までの約500mほどの一番街と、その周辺に土蔵造りの商家が並ぶ。言わずと知れた川越を代表する見どころである。もともとは江戸日本橋界隈の商家の造りがモデルになっていると言われる。一部、江戸時代から建つものを除き、ほとんどが明治26年(1893)年の川越大火後に建設されている。重厚で、それでいてどこか温かみのある蔵は、どれも個性的な出で立ちでその家主の威勢を誇るようであり、また実際の建築に携わった大工と左官の芸術的ともいえるコラボレーションの妙が感じられる。

●蔵造り資料館(左)
明治の大火後に建てられた煙草商・旧万丈の蔵をそのまま利用した資料館。

店蔵をはじめ、内部には煙草蔵、文庫蔵、住居棟などが残る。

(上)鬼瓦とそれを包み込むように細工された漆喰の影盛が川越の蔵の持ち味。この「くらづくり本舗」のように、怒髪天をつくがごとく鬼瓦が髪を逆立てたような装飾もなされる。ちなみにこれは火伏せのおまじないだとか。(MAP④)

(右)一番街のほぼ中央部、陶舗やまわ、まちかん本店、フカゼン美術表具の蔵が並ぶ。(MAP②)

(上)大沢家住宅。寛政4年(1792)、呉服太物の豪商・近江屋半右衛門築の現存する川越最古の土蔵建築。明治の大火でこの蔵が焼け残ったことで、土蔵造りが盛んになったという。華美な装飾がなく明治期のものに比べ質素なのが特徴。(MAP①)

一番街では珍しい町屋造りの荻野銅鐵店。(MAP⑤)

黒漆喰の美しさが際立つ、老舗和菓子店・亀屋。このように袖蔵もそのままに残る建築物は川越でも珍しい。(MAP⑥)




●時鐘(右)
寛永年間(1624~44)に当時の藩主・酒井忠勝により建設されたのが最初と伝わる。その後、幾度も大火で焼失するたびに再建されており、現在のものは明治の大火後に建設された。高さ約16m、木造3層構造の塔で、今も1日に4回(6:00、12:00、15:00、18:00)時を知らせる鐘が響き渡る。

(左)茶陶苑。大沢家住宅と並ぶ江戸時代の蔵。現在はギャラリーとして利用されている。(MAP⑧)

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近代のモダンな建築

近代の商業都市として栄えた川越には、蔵ばかりではなく、大正、昭和初期に建てられたモダンな建築物も散見できる。



(右)埼玉りそな銀行川越支店。第八十五銀行の本店として、大正7年(1918)に建設された、当時としては珍しい本格的鉄筋コンクリート建築。白いタイルと緑の塔が蔵の町に異彩を放つ。(MAP③)

(上)川越商工会議所。旧武州銀行川越支店として、昭和2年(1927)に建築。古典的で重厚な風情を町に醸している。(MAP⑦)


(右)手打ちそば百丈のビル。壁面に貼られた銅板、隅や軒の部分の凝ったデザインが特徴。昭和5年築のこの建物は、壁面に“つり具”とあるように元は釣具店であったが、現在はそば屋(木曜休)となっている。(MAP⑩)



●大正浪漫夢通り
川越商工会議所から蔵の町とは反対の南側に延びる通りが大正浪漫夢通り。昭和30年頃は銀座商店街というアーケードのある県内でも有数の歴史を誇る商店街で、江戸時代から続く商店もある。それが平成7年にアーケードを解体して電線の地中化、御影石の石畳敷設など大正浪漫の街づくりを開始。レトロな風情の商店街に様変わりし、今日では映画やTVドラマの撮影にもよく使われている。

(上)鰻の小川菊(左)は大正末期頃築の木造3階建て。川越地酒と味噌の老舗・伊勢源(右)の間のレンガ塀がユニーク。(MAP⑨)


(左)通りを歩けば近代の川越へと誘われる。


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