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西洋建築4-旧岩崎邸・洋館

洋館  撞球室  和館

洋館 
施工:明治29年(1896年)
設計:ジョサイア・コンドル
所在地:東京都台東区池之端1-3-45 旧岩崎邸庭園
構造/木造2階建・地下室付き
保存区分:国の重要文化財

 旧岩崎邸庭園は、東京都台東区池之端にある岩崎久彌の旧本邸です。現在は庭園として整備されています。
 岩崎久彌は、三菱財閥の創始者として有名な幕末・明治の偉人、岩崎彌太郎の長男として生まれ、アメリカ留学などを経験したのち、父が創始した三菱に入社。明治26年(1893)に社長に就任します。日本では経験の浅かった大型船舶の建造技術の導入や、企業グループの基礎作りなど、ビジネスマンとして数々の業績を残す傍ら、東京市(当時)の市民の憩いの場として清澄庭園や六義園などの庭園を市に寄贈するなど、社会貢献にも積極的でした。
 明治初期、横浜の山手に外国人投資家・起業家が造ったビール醸造所(キリンビールの前身)に資本参加するなど、様々な外国発祥の文化や産業の日本への導入や定着に貢献したことでも知られています。
 江戸時代に大名家の屋敷と庭園があったこの場所に、現在も残る主要な建築物が竣工したのは明治29年(1896)のこと。当時は、東京ドームの広さにほぼ匹敵する約1万5000坪という広大な敷地に20棟を超える建物を擁する、個人の本邸としては屈指の広さを誇る大庭園だったそうです。現在は、洋館、和館、撞球室の3棟のみが残り、往時よりも敷地は約3分の1と狭くなっているものの、かつての大名庭園の造形を一部に残しつつ、芝を敷き詰めた欧米風の近代的庭園の様式を取り入れた明治期の「和洋併置」の雰囲気を今も残しています。

 洋館は、岩崎家の一族の集まりや賓客を歓迎するための施設として使用されました。来客の宿泊用の部屋や設備も備えていました。
 設計を担当したのは、鹿鳴館を手掛けたことでも知られるイギリス人の建築家、ジョサイア・コンドルです。イギリス出身のコンドルですが、イギリス由来の様式だけにこだわらず、幅広く様々な建築様式を設計に融合させる柔軟さを持ち、それはこの洋館の随所に見ることができます。
 設計の基本は17世紀初頭のジャコビアン様式で、イギリスルネサンス期の特徴が見られます。ベランダの柱に見られる古典様式(1階はトスカナ式、2階はイオニア式の造形)への回帰や、アーチの導入、その一方でアラブ・イスラム圏式の幾何学的文様の天井やタイル張り、ジャコビアン様式の複雑な木彫を多用した室内装飾といった、多彩な表現が見どころです。
 内装には日本伝統の寄木細工や金唐紙(きんからかみ。和紙に金属箔を合わせ、版木で凹凸文様を押刻する希少な高級紙。撞球室の壁面にも使用)の壁紙も用いられ、随所で海外と日本の様式の融合を楽しむことができる。
 なお、この洋館の地上部分は木造なのですが、これは久彌がアメリカ留学中に現地の木造建築に触れてその良さを知っており、その希望を酌んで当初は石造りで計画が進んでいた洋館の設計を木造に変更したといわれています。
 地下はレンガ造りの土台に支えられ、レンガ造りの地下室は通路で撞球室の地下と結ばれています(通路は通常は非公開で、通行はできない)。

 

(上)ジャコビアン様式ながら、1階と2階が同じ様式で完全統一されているのではなく、異なる意匠で設計されているのが大きな特徴。

(左)階段ホールは、ジャコビアン様式の柱が並んだ独特の意匠が特徴。階段も手すりや支柱などの細かな彫刻が印象的で、柱を持たない「空中階段」と呼ばれる仕様である。

下段:
(左)2階ロビーを支える柱の支柱下部の彫刻。
(右)階段の昇り口脇や各部屋には暖炉の他にオイルヒーターも置かれている。

 

(右)庭園に面した2階の客室。

下段
(左)階段ホールの天井の8角格子の意匠。格子の中の板張りの方向を互い違いに組むなど、凝った仕様になっている。各部屋ごとに単調な部分がないようにしつらえられた内装は見どころ満載。
(右)館内の壁紙に使用されている金唐紙の見本も何か所か展示されている。





 

(左)円と直線を組み合わせた幾何学的な意匠が独特な婦人用客室。室内灯も他の部屋と異なるものが使われている。

下段
(左)暖炉は大理石造りで、デザインも各部屋で異なる。1階奥のこの暖炉には大鏡が置かれているが、これは室内を明るく見せる工夫だという。
(中)バス・トイレルーム。トイレは明治期前半としては非常に珍しい水洗式である。
(右)屋根裏部屋と通用階段(室内は非公開)。


(左)2階ベランダの床面は板張りになっている。

(下)1階のベランダはイギリス・ミントン社製のタイル張りで、目地材が使われておらず、ぴっしりと隙間なく敷き詰められている。











開園時間=午前9時~午後5時 (入園は午後4時30分まで)/休園日=年末・年始 (12月29日~翌年1月1日まで)/入園料=一般及び中学生400円、65歳以上 200円(小学生以下及び都内在住・在学の中学生は無料)/無料公開日=みどりの日(5月4日)、都民の日(10月1日)/建物内は撮影禁止です。

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